小説が現実化する
私の理論、TAWは、「思考が現実化する」という仕組みを読み解いたものです。
「思考が現実化する」ってどういうことでしょうか。
私たちには運命があるように思えますが、それは誰かが勝手に
自分に課したものではなく、自分の頭の中にあるストーリーが現実化しているのです。
ところで、32歳か33歳のころ、私はいくつか小説を書いていました。
そのころはまだただのパート主婦で、いつか小説家になりたい、
という思いで書いていました。
まだパソコンが普及しておらず、ノートに手書きで書く時代です。
その中でも、とても自分で気に入った話ができあがったので、
原稿用紙に書き起こし、出版社の懸賞小説に応募しました。
残念ながら、最終選考には残ったものの、入賞できませんでしたが。
ボツになった話ではありますが、それをちょっとご紹介します。
それは「サワーグレープものがたり」というタイトルでした。
サワーグレープとは、すっぱいブドウという意味で、イソップ童話の中にある、狐の話をもとにしています。
ブドウが食べたくて、木になっている房を取ろうとした狐が、
どうしても取れないので、悔しくて負け惜しみを言います。
「ヘン! あのブドウはすっぱいのさ!」
主人公は高校一年生の女の子、アミです。
アミは「この狐はただの負け惜しみの狐じゃない!」と思ったのです。
「この狐、えらい! だって、取れなかった悔しさを引きずらず、すぐに立ち直っているもの!」
ということで、「すっぱいブドウものがたり」は、狐の考えかたを称賛する小説なのです。
取れなかったブドウとは、本当はこうありたいのに、そうなれない自分像。
劣等感の多い自分であっても、それを引きずらず、前向きに生きるという女の子のラブコメディなのです。
この小説は、私の人生に深い影響を及ぼしました。
(つづく)